花を取らないようにしましょう!花泥棒を見たら注意しましょう!
01.10.19
種の保存法
01.10.19
環境省RDB
03.10.10
大阪府RDB
03.04.20
自然公園法
00.12.07
園芸植物
03.04.20
岩湧山の保護植物

《環境省植物版レッドリスト》01.10.19

 野生植物の美しさに魅せられ、実際に観察を始めて数年がたつ。岩湧山でキキョウやササユリなどを可愛いからといって持ち帰る人や、ムラサキニガナなどを無造作にへし折る人を見かける。そんな自然への無配慮の行為の積み重ねが種の減少を招いたり、絶滅に追い込んでいるのかと思うと、その度に心が痛む。日本の各地で、宅地開発や盗掘などにより、多くの植物が絶滅に追い込まれようとしている現実を愛好家として見過ごしてはならない。せめて関わりの深い岩湧山の貴重な植物を守ってゆきたいと考えている。そのためには、どんな植物が貴重なのか、岩湧山には貴重植物に該当するもの(レッドリスト)はあるのか、それを先ず調べたい。
今回は、国における貴重植物の定義とその概要について、環境庁ホームページより「97.08.28植物版レッドリストの作成について」をダウンロードしたものを、概ね原文通りに掲載する。

 レッドリストは、「レッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物の個々の種の生育状況等をまとめたもの)の基礎となるものであり、これ自体が法的規制等の強制力を伴うものではなく、絶滅のおそれのある野生生物に関する理解を広めることを目的としたものである。」とあるように、基本的には、全国レベルでの調査と科学的な評価方法により、野生生物の現状を評価し、これらの野生生物は絶滅のおそれがあり、保存の必要がありますよと国民に知らせ、関係省庁や地方公共団体等に対しては各種計画等に配慮を求めるためのものである。
保護対策としては、「レッドリスト掲載種の中でも特に絶滅のおそれの高い種について、さらに生育状況等に関する詳細な調査を実施し、『絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律』に基づく国内希少野生動植物種の指定を検討していく。」とあるように、レッドリストの中で非常に限られた僅かな種だけが法的規制(捕獲等の禁止など)とリンクしている。今後、その指定を広げようとしている。

注)文字化けのため、分類のローマ数字を絶滅危惧1A類、絶滅危惧1B類、絶滅危惧2類に置き換えています。

(上田泰二郎)

−−−−−−−−−−−−−−〈以下、引用文〉−−−−−−−−−−−−−−−−


●環境庁97.08.28 植物版レッドリスト
 環境庁は、今般、植物に関するレッドリスト(日本の絶滅のおそれのある野生生|物の種のリスト)を取りまとめた。レッドリストは、レッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物の個々の種の生育状況等をまとめたもの)の基礎となるものであり、これ自体が法的規制等の強制力を伴うものではなく、絶滅のおそれのある野生生物に関する理解を広めることを目的としたものである。
 環境庁では、絶滅のおそれのある植物の現状を動植物統一のカテゴリーにより把握するため、専門家による検討会を設置し、日本植物分類学会の全面的な協力の下、植物版レッドデータブックの作成作業を進めてきたところである。
 今回取りまとめたレッドリストでは、絶滅のおそれがある種(絶滅危惧I類及び II類)の数は合計1,726種としている。その内訳は、維管束植物(種子植物、シダ植物)ではコゴメキノエラン、サギソウなど1,399種、維管束植物以外の植物(蘚苔類、藻類、地衣類、菌類)ではカクレゴケ、マリモなど327種である。また、既に絶滅した種(絶滅及び野生絶滅)としては合計68種が掲載されている。
 今後、環境庁では、このレッドリストを基に、植物版レッドデータブックを作成することとしている。
 なお、動物のレッドデータブックについては、現在見直しの作業中である。

1.植物版レッドデータブックの作成について
(1)目的・経緯
 野生生物を人為的に絶滅させないためには、絶滅のおそれのある種を的確に把握し、一般への理解を広める必要がある。このため、環境庁では、動物については「日本の絶滅のおそれのある野生生物」(動物版レッドデータブック)を平成3年に取りまとめた。
 植物(維管束植物)については、平成元年に(財)日本自然保護協会と(財)世界自然保護基金日本委員会により「我が国における保護上重要な植物種の現状」が発行されているが、その後、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」が平成4年に制定されるなど、絶滅のおそれのある植物種の保存を図る上で、その現状を把握する必要性が高まったため、環境庁としても、最新の情報・知見を基に絶滅のおそれのある植物種をリストアップし、植物版レッドデータブックを作成することとしたものである。
 なお、動物版レッドデータブックについては、現在、見直しの作業中である。

(2)調査方法と調査体制
 植物版レッドデータブックの作成に当たって、環境庁自然保護局長の委嘱により「絶滅のおそれのある野生生物の選定・評価検討会」を、その下に「レッドデータブック改訂分科会」、「植物[1]分科会(維管束植物:種子植物及びシダ植物)」、「植物[2]分科会(蘚苔類、藻類、地衣類、菌類)」を設置し、動植物統一のカテゴリー、調査の進め方、評価方法、評価結果等について検討を行った。
 調査作業は、平成5年度より日本植物分類学会に情報の収集、評価等を依頼した。日本植物分類学会では、維管束植物については「絶滅危惧植物問題検討第一専門委員会」、維管束植物以外の植物については「絶滅危惧植物問題検討第二専門委員会」を設置し作業を進めた。
 維管束植物については、全国の調査協力者約 400名に調査を依頼し、調査協力者所有の既存データ等も活用しつつ、各種ごとに全国における生育個体数及び減少率をメッシュ情報として収集・整理し、そのデータを基に、絶滅確率等による数値基準を用いた方法による評価を行った。これは、全国レベルで数量解析に基づく評価を行った世界でも初めてのケースである。
維管束植物以外の植物については、分類、生態等不明な点も多く、維管束植物ほど情報がないことから、まず候補種の選定を行い、それぞれの種について文献調査や標本調査等により分布等に関する既存知見をとりまとめるとともに、全国約50名の調査者の協力を得て、各地の生育状態に関する情報を収集し、その結果を基に評価を行った。

2.レッドデータブックのカテゴリーについて
今回の植物版レッドデータブックの作成に当たっては、1994年(平成6年)にIUCN(国際自然保護連合)が採択した、減少率等の数値による客観的な評価基準に基づく新しいカテゴリーに従うこととしたが、我が国では数値的に評価が可能となるようなデータが得られない種も多いこと等の理由から、定性的要件と定量的要件を組み合わせたカテゴリーを策定した。新たなカテゴリーの概要は次のとおりであり、動物版レッドデータブックもこのカテゴリーにより順次見直しているところである。

新たなカテゴリー 参考;現行日本自然保護協会等版カテゴリー
●絶滅(EX)…我が国ではすでに絶滅したと考えられる種 絶滅種(Ex)
●野生絶滅(EW)…飼育・栽培下でのみ存続している種
●絶滅危惧

○絶滅危惧[1]類(CR+EN)…絶滅の危機に瀕している種

絶滅危惧種(E)
 ・絶滅危惧[1]A類(CR)
 ・絶滅危惧[1]B類(EN)
○絶滅危惧[2]類(VU)…絶滅の危険が増大している種 危急種(V)
●準絶滅危惧(NT)…現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
●情報不足(DD)…評価するだけの情報が不足している種 現状不明種(U)
□付属資料地域個体群(LP)…地域的に孤立しており、地域レベルでの絶滅のおそれが高い個体群

3.植物版レッドリスト
 レッドリストに掲げられた種数は、以下のとおり。

植物 蘚苔類 藻類 地衣類 菌類 小 計 合 計
絶滅EX 17 0 5 3 28 36 53
野生絶滅EW 12 0 2 0 1 3 15
絶滅危惧1類 881 110 34 22 51 217 1098
・1A類CR 471
・1B類EN 410
絶滅危惧2類 VU 518 70 6 23 11 110 628
準絶滅危惧NT 108 4 24 17 0 45 153
情報不足DD 365 54 0 17 0 71 436
1901 238 71 82 91 482 2583

注1)植物氈∴ロ管束植物(種子植物、シダ植物)、植物=維管束植物以外の植物である蘚苔類、藻類、地衣類、菌類
注2)維管束植物の「情報不足」には現段階で評価を留保しているものを含んでおり、レッドデータブックの作成までに可能な限りの評価を行う予定。

4.今後の保護対策
 植物版レッドリストについては、広く普及を図り、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存への理解を求めるとともに、関係省庁や地方公共団体等にも配布し、各種計画等における配慮を求める。一般の方のレッドリストの入手方法は別記のとおり。
 また、レッドリスト掲載種の中でも特に絶滅のおそれの高い種について、さらに生育状況等に関する詳細な調査を実施し、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく国内希少野生動植物種の指定を検討していく。

(別記)植物版レッドリスト入手方法
 植物版レッドリストは、以下のいずれかの方法で入手することが可能。
@環境庁自然保護局野生生物課に直接取りに行く
Aインターネットの環境庁ホームページ(http://www.eic.or.jp/eanet/)から入手
B返送用封筒(A4判の用紙の入る大きさの封筒に、切手270円分を貼り、返
 送先の住所、氏名を記入したもの)を同封の上、次の宛先に送付
     宛先:〒100東京都千代田区霞が関1-2-2
     環境庁自然保護局野生生物課植物版レッドリスト係

5.レッドデータブックの作成
今後、レッドリスト掲載種について個々の種の特徴の概要や評価の根拠等について記載した植物版レッドデータブック「日本の絶滅のおそれのある野生生物−植物編−」の作成作業を行い、来年度以降公表する予定。

■ カテゴリー定義

絶滅
Extinct(EX)
……我が国ではすでに絶滅したと考えられる種(注1)
【定性的要件】
過去に我が国に生息したことが確認されており、飼育・栽培下を含め、我が国ではすでに絶滅したと考えられる種

野生絶滅
Extinct in the Wild (EW)
……飼育・栽培下でのみ存続している種
【定性的要件】
過去に我が国に生息したことが確認されており、飼育・栽培下では存続しているが、我が国において野生ではすでに絶滅したと考えられる種
〈確実な情報があるもの〉

1 信頼できる調査や記録により、すでに野生で絶滅したことが確認されている。
2 信頼できる複数の調査によっても、生息が確認できなかった。
〈情報量が少ないもの〉
3 過去50年間前後の間に、信頼できる生息の情報が得られていない。

絶滅危惧1類
(CR+EN)
絶滅の危機に瀕している種
……現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、野生での存続が困難なもの。
【定性的要件】
次のいずれかに該当する種
〈確実な情報があるもの〉
1 既知のすべての個体群で、危機的水準にまで減少している。
2 既知のすべての生息地で、生息条件が著しく悪化している。
3 既知のすべての個体群がその再生産能力を上回る捕獲・採取圧にさらされている。
4 ほとんどの分布域に交雑のおそれのある別種が侵入している。
〈情報量が少ないもの〉
5 それほど遠くない過去(30年〜50年)の生息記録以後確認情報がなく、その後信頼すべき調査が行われていないため、絶滅したかどうかの判断が困難なもの。

絶滅危惧1A類
Critically Endangered (CR)
……ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの。
【定量的要件】
A.次のいずれかの形で個体群の減少がみられる場合。
 1.最近10年間もしくは3世代のどちらか長い期間(注2)を通じて、80%以上の減少があったと推定される。
 2.今後10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、80%以上の減少があると予測される。
B.出現範囲が100kF未満もしくは生息地面積が10kF未満であると推定されるほか、次のうち2つ以上の兆候が見られる場合。
 1.生息地が過度に分断されているか、ただ1カ所の地点に限定されている。
 2.出現範囲、生息地面積、成熟個体数等に継続的な減少が予測される。
 3.出現範囲、生息地面積、成熟個体数等に極度の減少が見られる。
C.個体群の成熟個体数が250未満であると推定され、さらに次のいずれかの条件が加わる場合。
 1.3年間もしくは1世代のどちらか長い期間に25%以上の継続的な減少が推定される。
 2.成熟個体数の継続的な減少が観察、もしくは推定・予測され、かつ個体群が構造的に過度の分断を受けるか全ての個体が1つの亜個体群に含まれる状況にある。
D.成熟個体数が50未満であると推定される個体群である場合。
E.数量解析により、10年間、もしくは3世代のどちらか長い期間における絶滅の可能性が50%以上と予測される場合。

絶滅危惧1B類
Endangered (EN) ……IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
【定量的要件】
A.次のいずれかの形で個体群の減少が見られる場合。
 1.最近10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、50%以上の減少があったと推定される。
 2.今後10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、50%以上の減少があると予測される。
 B.出現範囲が5,000km
2未満もしくは生息地面積が500km2未満であると推定されるほか、次のうち2つ以上の兆候が見られる場合。
 1.生息地が過度に分断されているか、5以下の地点に限定されている。
 2.出現範囲、生息地面積、成熟個体数等に継続的な減少が予測される。
 3.出現範囲、生息地面積、成熟個体数等に極度の減少が見られる。
C.個体群の成熟個体数が2,500未満であると推定され、さらに次のいずれかの条件が加わ場合。
 1.5年間もしくは2世代のどちらか長い期間に20%以上の継続的な減少が推定される。
 2.成熟個体数の継続的な減少が観察、もしくは推定・予測され、かつ個体群が構造的に過度の分断を受けるか全ての個体が1つの亜個体群に含まれる状況にある。
D.成熟個体数が250未満であると推定される個体群である場合。
E.数量解析により、20年間、もしくは5世代のどちらか長い期間における絶滅の可能性が20%以上と予測される場合。

絶滅危惧2類
Vulnerable (VU)
絶滅の危険が増大している種……現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、近い将来「絶滅危惧I類」のランクに移行することが確実と考えられるもの。
【定性的要件】
次のいずれかに該当する種
〈確実な情報があるもの〉

1 大部分の個体群で個体数が大幅に減少している。

2 大部分の生息地で生息条件が明らかに悪化しつつある。
3 大部分の個体群がその再生産能力を上回る捕獲・採取圧にさらされている。
4 分布域の相当部分に交雑可能な別種が侵入している。
【定量的要件】
A.次のいずれかの形で個体群の減少が見られる場合。

1.最近10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、20%以上の減少があったと推定される。

2.今後10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、20%以上の減少があると予測される。
B.出現範囲が20,000kF未満もしくは生息地面積が2,000kF未満であると推定され、また次のうち2つ以上の兆候が見られる場合。
1.生息地が過度に分断されているか、10以下の地点に限定されている。
2.出現範囲、生息地面積、成熟個体数等について、継続的な減少が予測される。

3.出現範囲、生息地面積、成熟個体数等に極度の減少が見られる。
C.個体群の成熟個体数が10,000未満であると推定され、さらに次のいずれかの条件が加わる場合。

1.10年間もしくは3世代のどちらか長い期間内に10%以上の継続的な減少が推定される。

2.成熟個体数の継続的な減少が観察、もしくは推定・予測され、かつ個体群が構造的に過度の分断を受けるか全ての個体が1つの亜個体群に含まれる状況にある。
D.個体群が極めて小さく、成熟個体数が1,000未満と推定されるか、生息地面積あるいは分布地点が極めて限定されている場合。
E.数量解析により、100年間における絶滅の可能性が10%以上と予測される場合。

準絶滅危惧
Near Threatened (NT)
存続基盤が脆弱な種……現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの。
【定性的要件】
次に該当する種
生息状況の推移から見て、種の存続への圧迫が強まっていると判断されるもの。具体的には、分布域の一部において、次のいずれかの傾向が顕著であり、今後さらに進行するおそれがあるもの。
a 個体数が減少している。
b 生息条件が悪化している。
c 過度の捕獲・採取圧による圧迫を受けている。

d交雑可能な別種が侵入している。

情報不足
Data Deficient (DD)……
評価するだけの情報が不足している種
【定性的要件】
環境条件の変化によって、容易に絶滅危惧のカテゴリーに移行し得る属性(具体的には、次のいずれかの要素)を有しているが、生息状況をはじめとして、ランクを判定するに足る情報が得られていない種

a どの生息地においても生息密度が低く希少である。

b 生息地が局限されている。

c 生物地理上、孤立した分布特性を有する(分布域がごく限られれた固有種等)。
d 生活史の一部または全部で特殊な環境条件を必要としている。

(注1)種:動物では種及び亜種、植物では種、亜種及び変種を示す。
(注2)最近10年間もしくは3世代:1世代が短く3世代に要する期間が10年未満のものは年数を、1世代が長く3世代に要する期間が10年を越えるものは世代数を採用する。

●付属資料
絶滅のおそれのある地域個体群

Threatened Local Population (LP)
……地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの。
【定性的要件】
次のいずれかに該当する地域個体群

1 生息状況、学術的価値等の観点から、レッドデータブック掲載種に準じて扱うべきと判断されれる種の地域個体群で、生息域が孤立しており、地域レベルで見た場合絶滅に瀕しているかその危険が増大していると判断されるもの。

2 地方型としての特徴を有し、生物物地理学的観点から見て重要と判断される地域個体群で、絶滅に瀕しているか、その危険が増大していると判断されるもの。

−−−−−−−−−−−−−−−〈以上、引用文〉−−−−−−−−−−−−−−−
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