<ブナ保護活動> 02.11.19

 急坂の道で沿いでブナ4本がクラブの浅原さんによって確認されたました。ブナは府下では和泉葛城山の天然記念物、妙見山だけ(金剛山、葛城山でも確認されていますが、いずれも奈良県側)で知られている貴重なものです。みどりすとでもあるAさんが大阪みどりのトラスト協会に働きかけ協力を得ることになりました。我がクラブは関係者と力を合わせ、この地で延々と引き継いできた貴重なブナをこの地で保全に協力して行こうと考えています。

ブナ、イヌブナについて
岩湧山ブナ調査




1ブナ科ブナ属
 我が国でブナ科ブナ属は両種のみである。落葉高木で雌雄同種の風媒花で、雄花序と雌花序に分かれ、果実は堅果(どんぐり)である。秋には褐色に黄葉する。
1-1.ブナとイヌブナの違い
 ブナとイヌブナの違いは、ブナはイヌブナより標高の高い所に分布する。岩湧山ではブナが800m付近、イヌブナはその下方で見られた。ブナは純林を作るが、イヌブナは作らない、イヌブナはひこばえをよく作る。葉はブナがやや厚いが、イヌブナはやや薄い、側脈の数はブナが少ないが、イヌブナは多い、成葉の毛はブナは落ちているが、イヌブナは枯れるまで脈状に残っている、果実はブナは上向きに付くが、イヌブナは長い柄の先に垂れ下がる、などがある。

樹皮
冬芽
葉の形 葉の側脈 側脈の毛 雄花序柄

雌花序総苞
果実 生育
ブナ 滑らか 尖る 卵形 7〜11対 脱落 1〜3cm 線形の鱗片 上向き、刺のある殻斗 標高高い
イヌブナ イボ状の皮目 鋭く尖る 長楕円形 10〜14対 残る 2〜4.5cm、長毛 短毛 下垂、小さい殻斗 標高低い
左;イヌブナ表、中;ブナ表(天然)、右;ブナ表(植栽)
左;イヌブナ裏、中;ブナ裏(天然)、右;ブナ裏(植栽)
1-1.ブナ/椈・山毛欅
 日本固有種。日本海側のブナは葉が大きく、幹はまっすぐに伸びて枝分かれしないが、太平洋側のブナは葉が小形で、よく枝分かれして樹形がずんぐりしている。岩湧山のブナは勿論、太平洋側のタイプであるが、岩湧寺の南側のお弁当広場では日本海側のタイプが植えられている。5〜7年周期で大豊作になる。種子の少ない年で食害者である昆虫等の密度を下げておき、豊作年に子孫を残す戦略だと言われている。
○樹形:高さ30m、直径1m
○樹皮:灰白色、滑らか
○枝 :本年枝は暗紫色で光沢、長楕円形の皮目
○冬芽:長さ1〜3cmの披針形、本年枝と2年枝の境に輪状の芽鱗痕
○葉 :互生、葉身4〜9cm,幅2〜4cm、卵形、やや厚い洋紙質、基部は広い楔形、先端は尖る、縁に波状の鋸歯、側脈は7〜11対、葉の裏面に突出、葉の両面の長い軟毛は成葉になると落ちる、葉柄は5〜10mm、褐色の軟毛のある托葉は1.5cmの披針形、開葉後落下
○花 :5月頃、葉と同時に開花、雄花序は新枝の下部の葉腋から垂下し、1〜3cmの花序柄の先に頭状の6〜15個の雄花、雌花序は新年枝の上部の葉腋から上向きにつき、線形の鱗片に被われた総苞の中に2つの雌花
○果実:10月頃、堅果が熟すと殻斗が4つに割れ、2個の堅果が出る、殻斗は硬い刺状の突起に被われる、堅果は1.5cmの3稜形、野生動物の好物
○生育:山地、北海道・東北では平地
○分布:北海道(北限は渡島半島黒松内)、本州、四国、九州(南限は鹿児島県高隈山)

1-2.イヌブナ/犬椈
○樹形:高さ25m、直径75cm、萌芽力が旺盛で主幹が枯れてもひこばえが生長
○樹皮:黒っぽく、イボ状の皮目
○枝 :暗紫色の長楕円形の皮目多数
○冬芽:長さ1〜3cmの披針形、先は鋭く尖る、本年枝と2年枝の境に輪状の芽鱗痕
○葉 :互生、葉身5〜10cm,幅3〜6cm、長楕円形、やや薄い洋紙質、基部は広い楔形、先端は鋭く尖る、縁に波状の鈍い鋸歯、側脈は10〜14対、葉の裏面に突出、葉の両面の長い軟毛は成葉になると落ちるが、裏の脈状の毛は黄葉まで残る、葉柄は4〜9mm、褐色の軟毛のある托葉は2〜2.5cmの倒披針形、開葉後落下
○花 :4〜5月頃、葉と同時に開花、雄花序は新枝の下部の葉腋から垂下し、長い軟毛のある2〜4.5cmの花序柄の先に頭状の6〜15個の雄花、雌花序は新年枝の上部の葉腋から上向きにつき、短毛に被われた総苞の中に2つの雌花
○果実:10月頃、2.5〜5cmの柄の先に柔らかい刺のある小さな殻斗が付き、されに1〜1.2cmの3稜形の2個の堅果が垂れ下がる
○生育:ブナより標高の低いところ、太平洋側のやや乾燥した山地
○分布:本州(岩手・石川県以西)、四国、九州
イヌブナ(裏)




2.岩湧山ブナ調査
 保全活動に入る前にブナの生育状況を把握する必要がある。実態調査を冷温帯に生育するブナは、大阪では概ね標高800m以上に分布している。ブナ並びにイヌブナについて、ダイトレ近辺のコナラ二次林を調査する。今回は、ブナが発見された急坂の道に他に、いわわきの道も調査する。

日 時−−2002年1月20日(日曜)10時〜17時

参加者−−6名(大阪みどりのトラスト協会1名、いわわきネイチャークラブ5名)

場 所−−急坂の道の上部、いわわきの道の上部

内 容(位置は下図参照)
・急坂の道の標高750〜800m強西側雑木林を調査する。調査は6人が広がって、地面に落ちている枯れ葉を探し、見つけたら立木を探す方法をとった。ブナを標高800m前後で6本いわわきの森内又は西側民地(滝畑)内で確認する。4本は確認済で、2本はこれまでイヌブナとみていたものである。1本は単木、他は株立ちと考えられる。樹齢は20歳くらいと推測され、親木は近接の植林事業で伐採されたものと考えられる。発育を阻害する隣接の木々があり、環境改善を図る必要があると感じた。
イヌブナは急坂の道を登りながら見える範囲で調査する。イヌブナは標高650〜800mで15本確認された。1本が新たに確認された。ひこばえに枯れ葉が残っているため、発見しやすかった。
・いわわきの道では、ダイトレ付近の雑木林は面的に調査したが、見つからなかった。イヌブナについては見える範囲で調査した結果、見晴らしの道付近で1本、行者堂の谷奥で1本確認した。

課 題
・山主の協力を得て、急坂の道におけるブナの保全活動を進める。そのための計画を立てる。
・岩湧山の他の地域でもブナの調査を続行する。

ブナの調査風景

芽鱗が残っているブナ

●配置図
下図は浅原さんが事前に独自で調査のもとに作成し、今回の調査で見つかったものを追記したものである。


(上田泰二郎)
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